ここでは今年2月に発表された調査結果(※1)から、福祉施設等(以下、医療,福祉)における、高年齢労働者に対する労働災害防止対策の取組状況をみていきます。
上記調査結果によると、60歳以上の高年齢労働者が業務に従事している医療,福祉の事業所は88.7%で、調査結果全体の77.7%より高くなっています。
また、高年齢労働者に対する労働災害防止対策に取り組んでいる医療,福祉の事業所は56.5%で、全体の54.7%より1.8ポイント高い状況です。
労働災害防止対策に取り組んでいる事業所での取組内容をまとめると、下表のとおりです。

医療,福祉では、高年齢労働者の特性を考慮した作業管理が64.8%となりました。次いで、個々の高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応が42.1%となっています。
同調査結果から、医療,福祉の4割以上の事業所では労働災害防止対策に取り組んでいません。その理由として、取り組み方がわからないが49.2%、自社の60歳以上の高年齢労働者は健康であるが42.9%などとなっています。
厚生労働省では、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(※2)という、高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境の実現に向け、事業者や労働者に取組が求められる事項をまとめた資料を策定しています。取り組み方がわからない施設では、こうした資料の活用も検討してはいかがでしょうか。
加齢に伴う労働災害は、身体への負担が少ない業種でも発生のリスクが高まります。自施設の状況を確かめ、適切に対応していくことが必要です。
(※1)厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)」
常用労働者10人以上を雇用する民営の約14,000事業所等を対象にした、2023年10月時点の調査です。
(※2)厚生労働省「高年齢労働者の安全衛生対策について」
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